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コンテナハウス

コンテナハウスとは?注目の理由や設置する場合の注意点を解説

新しい住居スタイルや開業する店舗にコンテナハウスを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。コンテナハウスは、従来輸送用に使用されていたコンテナを、居住可能な建築物に適合するようにアレンジして製造された建築物です。

本記事ではコンテナハウスとはどのような建築物なのか、わかりやすく解説します。コンテナハウスが注目されている理由や設置する場合の注意点も説明するので、ぜひ参考にしてください。

コンテナハウスとは建築物として機能するコンテナ

コンテナハウス

コンテナハウスとは、コンテナを利用した建築物のことです。コンテナハウスに使用されるコンテナは、輸送用に使用されているものとは規格が異なります。

 

コンテナハウスは耐久性や気密性に優れており、住居をはじめ、店舗や事務所、ガレージなどの作業スペースとしても活用可能です。コンテナハウスは、縦に積み重ねて二階建てや三階建てにすることも可能です。

 

なお、コンテナハウスは重量鉄骨造に分類されるため法定耐用年数は34年です。錆対策などのメンテナンスや設置場所により耐久性が変わり、長寿命化を図ることも可能です。

コンテナハウスは建築基準法に適合する必要がある

コンテナハウスは、輸送用のコンテナとは異なり、建築基準法第2条第1号が規定する「建築物」のため、建築基準法に適合する必要があります。

 

コンテナハウスが建築基準法に適合しないと違反建築物とみなされ、是正指導や是正命令の対象になります。ただし、コンテナハウスを設置するのが都市計画地域外であれば、建築確認申請は不要です。

 

国土交通省では「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」において、コンテナハウスを「随時かつ任意に移動できないコンテナ」と表記しています。建築基準法に適合するためには、コンテナハウスとして使用するコンテナが「JIS認定工場で溶接が行われ、JIS鋼材で造られたもの」「土地に定着している」必要があります。

 

なお、中古コンテナの中にはJIS鋼材が使われていないISO海洋輸送用のものもあります。ISO海洋輸送用のコンテナは国際的に統一された規格のものですが、輸送用のコンテナは壁面に窓などの開口部を設けると強度を失う場合もあり、建築基準法には適合しません。建築基準法に適合しないコンテナを用いる場合には、改修工事を行う必要があることを念頭に入れておくようにしましょう。

コンテナハウスのサイズ

コンテナハウスのサイズは 20フィートと40フィートの2種類です。コンテナハウスの奥行きを示す「長さ」が、 20フィートサイズは約6m、40フィートサイズは約12mとなっており、高さや幅はいずれも同じです。

 

【コンテナハウスのサイズ】

コンテナサイズ

コンテナハウスのサイズは、 貨物輸送を目的に製造されているISO海上輸送コンテナの国際標準と同じ規格です。規格外のサイズのコンテナハウスの製造を発注することも可能ですが、輸送費が高くなることを考慮しましょう。

コンテナハウスとプレハブやトレーラーハウスとの違い

コンテナハウス トレーラーハウス 違い

コンテナハウスとプレハブやトレーラーハウスは複数の点で違いがあります。

 

コンテナハウスとプレハブはいずれも建築物ですが「建築資材」「ライフラインと設備の設置場所」が異なります。トレーラーハウスは「法律上車両である」「設備配線や配管などが着脱できる状態で接続されている」点がコンテナハウスとは異なります。

 

【コンテナハウスとプレハブ・トレーラーハウスとの違い】

コンテナハウス_トレーラーハウス_違い

コンテナハウスは厚さ6mm以上の鉄骨(重量鉄骨)を使用した「建築物」で、現場への搬入前にドア、サッシ、換気扇などの設備を取り付けます。一方、プレハブは厚さが6mm未満の鉄骨(軽量鉄骨)を使用した「建築物」で、現場で部材を組み立てた後に、電気配線や、換気扇や照明などの設備を取り付けます。

 

トレーラーハウスは、住居や事務所、店舗などの建物を乗せた「車両」です。法律上は車両ですが、エンジンを持たないため、移動の際にはタイヤの付いたシャーシという車体にけん引されます。さらに、トレーラーハウスの車輪が外されている場合や、設備配線や配管などが着脱できない状態になっている場合は「建築物」となります。

コンテナハウスが注目される理由

 

コンテナハウスに注目が高まっていることには複数の理由があります。

 

【コンテナハウスの注目される理由】

  • 一般的な住宅よりも低コストで設置できる場合がある
  • 工期を短縮できる
  • デザインの自由度が高い

一般的な住宅よりも低コストで設置できる場合がある

住宅の資材や大きさにもよりますが、コンテナハウスは、鉄骨の柱と梁を組んで構造体を組む鉄骨造の住宅や木造住宅よりも低コストで設置できるケースがあります。さらに、土地のスペースが限られる場合にも、コンテナハウスであれば設置が可能です。

 

また、一般的な住宅より改装がしやすく、不要になった場合でもリサイクルできます。低コストであるだけでなく、撤去や再建築の工程における環境負荷が少ない点も魅力であるといえます。

 

ただし、コンテナハウスは、内装や外装にこだわると木造住宅よりもコストがかかることもあります。そのため、コンテナハウスの設置は、一般的な住宅を建てるよりも低コストではあるものの、格安に行えるわけではない点を考慮に入れておきましょう。

工期を短縮できる

コンテナハウスは一般的な住宅と比較して工期を短縮できます。一般的な住宅は一から資材を組み立てて建設しますが、コンテナハウスは完成したコンテナを設置場所に運んだうえで建設するからです。

 

一般的な住宅の工期は3〜6ヶ月程度ですが、コンテナハウスの工期は1〜3ヶ月程度です。

 

ただし、設置場所で規格外のコンテナを一から組み立てたり、複雑なカスタマイズを取り入れる場合には、工期の短縮は難しくなる場合もあります。

デザインの自由度が高い

コンテナハウス デザイン

コンテナハウスはデザインの自由度が高い点も注目される理由のひとつです。塗装や外壁を変えるだけで変化をつけられるだけでなく、コンテナを積み上げたり梁で接続すると増築も可能です。

 

たとえば、コンテナハウスを積み上げて2階建てにできます。また、壁を外して空間を広げたり、細かく仕切って利用することも可能です。

 

さらに、コンテナハウスはデザインの自由度が高いだけでなく、耐久性や気密性にも優れているため、災害時の避難場所としても活用できます。

コンテナハウスを設置する場合の注意点

コンテナハウスを設置する場合の注意点は「設置場所」「メンテナンスの必要性」です。これらを把握しておくことでコンテナハウスの設置におけるデメリットを回避できるでしょう。

搬入経路を考慮した設置場所を確保する必要がある

コンテナハウス 搬入

コンテナハウスは搬入経路を考慮した設置場所を確保する必要があります。コンテナハウスは、一般的な住宅のようにパーツを設置場所で組み立てるのではなく、箱型に組み立てられたコンテナを設置場所に輸送するからです。

 

コンテナハウスの設置を検討する際には、「設置場所までコンテナを積載した車両が通れる道幅か」「搬入の妨げになるような電線や樹木がないか」などの確認が必要となります。

 

なお、コンテナハウスの設置場所は変更することがないように「方角」「導線」などを慎重に検討してから行うようにしましょう。コンテナハウスの設置後は移動が不可能ではないものの、電気・水道・ガスなどのライフラインや基礎を外し、コンテナを分解する必要が生じるため、容易ではありません。やむを得ずコンテナハウスを移設する可能性がある場合には、移設に適した設置場所を確保することに加え、コストがかかることを念頭に置くようにしてください。

暑さ対策やメンテナンスも必要となる

コンテナハウスは暑さ対策やメンテナンスも必要となります。コンテナハウスは気密性が高く熱伝導率が高い資材でできているため、夏場に熱がこもってしまい、地域によっては冬に寒さの影響を受けることになります。

 

そのため、コンテナハウスを設置する段階で、壁・天井・床などに断熱材を取り入れる工事が必要です。また、経年変化による錆は漏水の原因になるため、防錆用の塗料を塗布したり、断熱材に穴を開ける可能性があるシロアリ対策をするなどのメンテナンスも必要です。

 

コンテナハウスの用途に応じて、これらの経費も念頭にいれたうえで設置を検討しましょう。

コンテナハウスの設置にかかる費用

コンテナハウスの設置にかかる費用はコンテナ本体代、土地代、輸送費、工事費、改装費などです。ここでは、コンテナハウス本体を新品購入した場合の目安を紹介します。

 

【費用例】

コンテナハウス費用

 

コンテナハウスの設置にかかる輸送費、工事費、改装費だけでも、20フィートサイズで80万円、40フィートサイズで100万円程度の費用がかかります。さらに、土地代や、居住や店舗などの目的に応じて、トイレや風呂などのライフラインが必要となるため、コンテナハウスの設置にはトータルで300万円程度の費用がかかります。

 

また、コンテナハウスの設置後には、定期的なメンテナンスや固定資産税がかかることも念頭に置くようにしましょう。

 

なお、中古販売されているコンテナハウスの場合、本体の販売価格は新品よりも安価ですが、建築基準法に適合していない可能性があります。建築基準法に適合していない場合には、施工や補修を行う必要が生じる可能性があります。

コンテナハウスは固定資産税の対象になる

コンテナハウスは建築物であるため、住宅と同様に固定資産税の対象になります。

 

固定資産税は、土地や住宅などの所有者が地方自治体に対して納める税金です。住宅や建築物が「土地への定着」「外気分断性」「用途性」の条件を満たす場合、固定資産税の対象となります。

 

【コンテナハウスにかかる固定資産税】

コンテナハウス_固定資産

コンテナハウスを設置した場合に支払う固定資産税は、「固定資産税評価額×1.4%(固定資産税率)」で算出され、税率0.3%の都市計画税がかかる地域もあります。

 

コンテナハウスを所有している駐車場などの土地に設置した場合、減税が可能になります。建築物のない土地よりも建築物を設けた土地のほうが、固定資産税率を下げられるからです。

 

コンテナハウスの設置事例

コンテナハウスは、居住をはじめ、さまざまな業態の事業に活用できます。

 

【コンテナハウスの設置事例】

  • 結婚式の待合室
  • エステサロン、ヘアサロン
  • ワインの陳列、販売

 

ほかにも、コンテナハウスはさまざまな事業に活用されています。構造などの情報と併せてコンテナハウスの事例を知りたい人は「コンテナ店舗、コンテナハウス等の事例紹介」を確認してください。

結婚式の待合室としてのコンテナ活用

神戸市の六甲アイランドに所在する結婚式場「ア・ラ・モードパレ&ザ・リゾート」では、20フィートコンテナ1台を結婚式の待合室として活用しています。

 

コンテナの外部には鉄骨の階段を設置、屋上にはデッキを敷設しています。さらに、結婚式場までのルートを確保しており、雨にぬれることなく入場できます。

 

外装にはチークの古材を使用し、特注の丸い窓を採用するなど、外装と内装にこだわりを持った事例といえるでしょう。

車が入れるハイキューブコンテナの採用

オーナーの趣味である車が入れるよう、ハイキューブコンテナを横倒しにして施工した事例です。

 

奈良市内に所在する「Mahalo HAIR」は、20フィートコンテナを2台使用し、1階にガレージ、2Fにエステサロンを設けています。通常のコンテナ間口は、車が入りづらいため、ハイキューブコンテナを横倒しにしてガレージの間口を確保しました。 

 

ガレージのドアは、オーナーのこだわりによって、シャッタータイプではなくコンテナ特有のロッドバータイプのものを採用しています。また、内部スペースは、開口部を設けて圧迫感をなくすとともに、簡単な操作で開閉ができる電動シャッターになっています。

コンテナを改装、車両扱いとしての店舗営業

コンテナを改装し、地面に固定して設置するのではなくタイヤの付いたシャーシ(車台)の上に載せ車両扱いとしての店舗を構えている事例です。

大阪市の北新地でワインの陳列、販売を行っている「WINELIST 堂島」は、10フィートコンテナにナンバープレートを取得しています。ナンバープレートを取得し、車両扱いにすることで、建築確認不要で店舗を構えることができました。

 

1台の10フィートコンテナには、開放感のある出入口を2カ所設けており、いずれも強化ガラスを採用しています。さらに、木製の建具、デッキ、ウッド&アイアンなどを装備し、圧迫感のない空間を提供しています。

まとめ

コンテナハウスとは、建築物として機能するコンテナのことです。コンテナハウスに使用されるコンテナは、輸送用に使用されているものとは規格が異なり、建築基準法に適合する必要があります。

 

コンテナハウスが注目される理由ともいえるメリットとして「一般的な住宅よりも低コストで設置できる場合がある」「工期を短縮できる」「デザインの自由度が高い」が挙げられます。一方、コンテナハウスの設置におけるデメリットを回避するための注意点は「設置場所」「メンテナンスの必要性」です。

 

なお、コンテナハウスは建築物であるため、住宅と同様に固定資産税の対象になります。コンテナハウスの設置にかかる費用としてコンテナ本体代、土地代、輸送費、工事費、改装費などがありますが、固定資産税の対象であることも把握しておきましょう。