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飲食店の開業を計画する際、店舗の候補としてコンテナハウスを検討している事業主の方もいるのではないでしょうか。当記事では、コンテナハウスでの飲食店開業を検討している事業主向けに、メリットや注意点を解説します。
コンテナハウスで飲食店を開業する場合の費用目安や開業手順も説明するので、ぜひ参考にしてください。
コンテナハウスで飲食店を開業するメリットは「コスト」「デザイン」「宣伝効果」の3つです。
【コンテナハウスで飲食店を開業するメリット】
コンテナハウスを活用することで、従来の重量鉄骨造の建物よりコストを抑えながら、他店と差をつけたおしゃれな飲食店にできる可能性が高まります。
コンテナハウスで飲食店を開業することで、一から重量鉄骨造の店舗を建築するよりもコストを抑えることができます。内装にこだわるとコストはかさむこともありますが、コンテナハウスの建設コストは木造住宅の建築物と同じくらいの価格が目安です。
さらに、コンテナハウスは鉄鋼でできているため、耐久性や耐震性にもすぐれています。重量鉄骨造の建物を建てて飲食店を開業したいのに予算がない場合に向いているといえます。
なお、コンテナハウスは業者の工場内で内装を行い、組み立てられた状態で納品されるため、工期を短縮できます。開業までの期間を短縮して飲食店を開業したい場合にも、コンテナハウスでの飲食店開業を検討してみてください。
コンテナハウスは、1台だけではなく、横並びに連結したり上下に重ねて専有面積を拡張できるため、自由度の高い設計やデザインが可能です。さらに、内装や外装を自由にカスタマイズしやすいという特徴もあります。
たとえば、コンテナの無骨な外観をデザインとして活かしたり、2台以上のコンテナを重ねて2階建てにすることも可能です。
さらに、ペイントや素材の工夫などによって内装や外装も自由に変えられるため、オリジナリティの高いおしゃれな店舗をデザインしやすいでしょう。
コンテナハウスは、一般的な建築物と比較すると外観が看板や目印として機能しやすいため、外観による宣伝効果が期待できます。
特に周辺にコンテナハウスの飲食店がない場合には、「コンテナハウスの店」として認知されやすく、口コミでの評判も期待できます。
コンテナハウスの飲食店は、コンテナの外観を活かしたおしゃれな雰囲気を演出できるため、周辺地域の競合店に差をつけたい場合にも向いているといえるでしょう。
コンテナハウスでの飲食店開業における注意点は「適切な規格のコンテナ」「設置費用および場所」「メンテナンス」です。
【コンテナハウスでの飲食店開業における注意点】
いずれの注意点も、飲食店の開業を計画する段階で把握し、対策しておくようにしましょう。
コンテナハウスで飲食店を開業する場合、適切な規格や大きさのコンテナを選択する必要があります。コンテナハウスは、日本国内において建築基準法が規定する建築物に該当するからです。
コンテナハウスで飲食店を開業する場合、コンテナの設置前に建築基準法に則った建築確認申請を行う必要があり、建築基準法に適合するためには、いくつかの要件があります。たとえば、JIS規格(日本工業規格)に適合したコンテナを使用する必要があります。また、建築確認申請に通るためには、JISが認定した工場で溶接を行ったコンテナである必要もあります。
ただし、飲食店を開業するのが防火指定のない地域であり、コンテナハウスが「10㎡以下」「増築・改築・移転である」場合には建築基準法への適合は不要になります。
なお、中古コンテナのなかには、JIS鋼材が使われていないISO海洋輸送用のものもあります。建築基準法に適合しないコンテナは、使用に際して改修工事が必要になることを念頭におくようにしましょう。
飲食店に限らず、コンテナハウスを建築物として使用できるようにするには、木造の建築物と同じくらいかそれ以上の費用がかかります。コンテナハウスは重量鉄骨造の住宅よりも低コストで設置できますが、さまざまな設備を導入する必要があるからです。
コンテナハウスは組み立てた状態で設置場所に輸送するため、輸送費用もかかります。さらに防錆対策など定期的なメンテナンスも必要なため、格安で建てられるわけではありません。
そのため、店舗費用を抑えるためにコンテナハウスで飲食店を開業しようと考えている方は、コンテナハウスの建設費用の見積もりをとり、予算にあうか確認してみましょう。
なお、コンテナハウスの設置にかかる費用に関して知りたい人は、「コンテナハウスの価格は?本体や設置する際にかかる費用を解説」を確認してください。
コンテナハウスは、工場で組み立て、設置場所に運んでから水道やガスなどのライフラインを設置する工事を行うため、搬入・設置できる土地が必要となります。
そのため、組み立てた状態のコンテナを搬入できる経路を考慮し、設置場所を確保する必要があります。コンテナハウスの設置場所までの道が細すぎないか、搬入の妨げになるような電線や樹木がないか確認が必要です。
なお、コンテナハウスでの飲食店は、外装や内装を維持した状態で店舗移転も可能です。ただし、移転先の土地の選定やライフラインや基礎を外してコンテナを分解する必要が生じるため、容易ではありません。コンテナハウスで飲食店を開業する場合、店舗の場所は入念に検討するようにしましょう。
コンテナハウスは、気密性が高く、冬は暖かく夏場は熱がこもるため、断熱や錆対策に加えて定期的なメンテナンスを必要とします。そのため、コンテナハウスを発注する段階で、コンテナハウスの内壁や外壁に断熱材を使用するように手配しましょう。
定期的に行うメンテナンスには、経年変化による錆対策や水の侵入防止などがあります。錆対策として防錆用の塗料を塗布し、水の侵入を防ぐためにシーリング材を使用します。さらに、内装に使用する資材によってはシロアリ対策をする必要もあります。
コンテナハウスでの飲食店の開業を検討している場合には、これらの経費も念頭におくようにしましょう。
コンテナハウスで飲食店を開業する際の費用目安は「コンテナハウスのサイズ」「コンテナハウスの設置場所(輸送費)」「内外装」「飲食店のジャンル」などの条件によります。
新品のコンテナハウスを使用して飲食店を開業する場合にかかるトータルの費用目安は、20フィートサイズで約750万から、40フィートで1,090万程度です。
【コンテナハウスで飲食店を開業する際の費用目安】
コンテナハウスで飲食店を開業する際の費用における「内外装」には設計費、材料費が含まれ、デザインや業者によって左右されます。そのため、コンテナハウスの施工実績がある業者に見積もりを依頼して検討するようにしましょう。
また、厨房機器は、飲食店の営業許可を受ける際の基準に準じて選ぶ必要があります。最低限の設備として「シンク」「洗浄設備」「作業台(又はコールドテーブル)」「冷凍冷蔵庫」「食器棚」「製氷機」などがあります。さらに飲食店のジャンルによってはビールディスペンサーや冷蔵ショーケースなどを用意するため、費用の目安も変わってきます。
なお、飲食店の営業許可をクリアするために必要な厨房機器に関しては、事前に管轄の保健所に相談し、確認するようにしましょう。
コンテナハウスで飲食店を開業する際の手順はおもに4工程です。
【コンテナハウスでの飲食店開業手順】
1.資金調達を行う
2.建築確認申請が必要
3.業種に応じて資格を取得する
4.飲食店営業許可申請を行う
まずは、コンテナハウスで飲食店を開業するための資金調達を行いましょう。コンテナハウスで飲食店を開業するのに必要な資金はおもに「輸送費」「改装費」「各種工事費用」「建築確認申請費用」です。
自己資金が不足している場合には、事業主を対象とした補助金や融資を受ける方法もあります。しかし、補助金や融資を受けるためには、事業計画の作成を求められる場合があるため、必要に応じて専門家に相談することも検討してみてください。
資金調達を行い、コンテナの購入や設置ができたら、コンテナハウスの延べ面積に応じて建築確認申請を行います。
建築確認申請は、コンテナハウスが延べ面積10平方メートル以上の場合に必要になります。申請のタイミングは、建築基準法(第 6 条)で建物完成後4日以内に完了検査申請を行うことが定められています。
なお、コンテナハウスを建てる地域が都市計画区域外かつ、平屋で200平方メートル以下の場合、建築確認申請は不要です。建設予定の土地が都市計画区域に該当するかは、建築予定地域を管轄する市区町村の公式サイトで確認してみてください。
コンテナハウスで開業する飲食店の業種に応じて必要な資格を取得します。コンテナハウスで飲食店を開業する場合にも、通常の飲食店と同じように食品衛生責任者の配置と保健所による検査を受ける必要があるため、食品衛生責任者の資格は必須です。
コンテナハウスに限らず、飲食店の開業に際して、調理師免許は必要ありません。ただし、営業する店舗の収容規模が30人以上の場合は防火管理者の選定、アルコールを提供する場合には酒類販売業免許が必要です。
なお、店舗の規模や提供するメニューに応じて必要な資格が異なります。さらに、資格取得のルールも、自治体や保健所によって異なる場合があるため、事前に管轄の自治体の窓口や保健所に確認しましょう。
ここまでの工程が完了したら飲食店営業許可申請を行います。飲食店営業許可申請は、コンテナハウスの設置場所を管轄する保健所で行い、飲食店営業許可を取得すると営業を開始できます。
【飲食店営業許可申請の必要書類例】
・営業許可申請書
・営業施設(コンテナハウス)の配置図、図面
・食品衛生責任者の資格証明
・水質検査成績書の写しと原本(※水道水以外の水を使用する場合)
ほかにも、法人が経営する場合、飲食店営業許可申請に際して「定款」「登記簿謄本等」が必要になります。また、水道水以外の水を使用する場合は「水質検査成績書の写しと原本」も必要です。
飲食店営業許可にかかる費用目安は、15,000円〜19,000円程度です。申請費用や申請に必要な書類は、自治体ごとに異なる場合があります。
なお、飲食店営業許可申請以外にも、火を使用する場合には「防火対象物使用開始届出書」、深夜0時以降にアルコールを提供する場合は「深夜酒類提供飲食店営業届」の申請も必要になります。業態や営業時間に応じて申請の用意を行うようにしましょう。
コンテナハウスで飲食店を開業するメリットは「コスト」「デザイン」「宣伝効果」です。コンテナハウスでの飲食店は、コンテナ自体をおしゃれなデザインとして活かしながら重量鉄骨造の建物よりコストを抑えて建設可能です。さらに、コンテナの外観による宣伝効果も期待できます。
コンテナハウスでの飲食店開業における注意点は「適切な規格のコンテナ」「設置費用および場所」「メンテナンス」です。飲食店に使用するコンテナは、建築基準法に則った建築確認申請を行う必要があり、コンテナハウスを建築物として使用できるようにするには、木造の建築物と同じくらいの費用がかかります。さらに、コンテナハウスは、気密性が高く、冬は暖かく夏場は熱がこもるため、断熱や錆対策などを行う必要があり、定期的なメンテナンスも必要です。
コンテナハウスで飲食店を開業する際の費用目安は「コンテナハウスのサイズ」「コンテナハウスの設置場所(輸送費)」「内外装」「飲食店のジャンル」などの条件によって異なります。新品のコンテナハウスを使用して飲食店を開業する場合にかかるトータルの費用目安は、20フィートサイズで750万程度〜、40フィートで1,090万程度〜です。
コンテナハウスで飲食店を開業する際の手順はおもに「資金調達」「建築確認申請」
「資格取得」「飲食店営業許可申請」の4工程です。資格や申請は、必須のものもありますが、店舗の規模や提供するメニューによって異なる場合もあります。申請の要件や必要な書類などは、所轄の保健所や消防署などによって異なるため、各窓口に確認するようにしましょう。