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コンテナハウス

住宅用のコンテナハウスのメリットとデメリットを一般住宅と比較して解説

コンテナハウスの店舗や事務所を見かけることが多くなってきた昨今、おしゃれな外観から自宅用に購入を検討する方も増えてきています。とはいえ、伝統的な木造住宅や鉄骨造などの一般住宅とコンテナハウス、どちらが自分に合っているのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

 

実際のところ、住宅用のコンテナハウスは一般住宅と比較して独自のメリットとデメリットが存在します。また、コンテナハウスは注文住宅と比較して安いイメージがあるかもしれませんが、増築や維持費の面で総合的な費用はかさむ可能性もあるので注意が必要です。

 

当記事では、住宅用のコンテナハウスのメリットとデメリットを一般住宅と比較して解説していきます。費用についても併せて解説するので、コンテナハウスを検討中の方は参考にしてみてください。

一般住宅と比較したコンテナハウスのメリット

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスには次のようなメリットがあります。

 

【住宅用コンテナハウスのメリット】

  • 工期が短い
  • 移設が可能である
  • デザインの自由度が高い
  • 自然災害に強い

 

全体的なメリットとして、コンテナハウスには早いスピード感で入居が可能であり、住環境のカスタマイズ性が高いという点が挙げられます。また、自然災害に強い面があるので、台風や地震の多い日本では住宅の耐久性が担保されるのもコンテナハウス独自の長所です。

 

このような観点から、コンテナハウスは早く家を建てたい方や、自分のこだわりを反映したおしゃれな家に住みたい方に向いているといえるでしょう。

工期が短い

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスは住居自体の工期が短いというメリットがあります。一般住宅が6ヶ月程度の工期が必要になるのに対し、コンテナハウスはその半数程度の期間で入居が可能になります。

 

【コンテナハウスと一般住宅の平均的な工期】

構造種別 平均工期
コンテナハウス 1~3ヶ月
一般住宅 3~6ヶ月

 

最も工期に差が出るのは躯体工事(くたいこうじ)です。躯体工事とは基礎や柱、壁などを指し、一般住宅においてはこれらの組立に多くの時間が必要になります。一方、コンテナハウスは完成しているコンテナを設営するので躯体工事が必要なく、工期を大きく削減することができるのです。

 

設営自体は短期間で終わるものの、コンテナハウスの全体の工期には「設計」「コンテナの調達」「コンテナの加工」「基礎工事」「外構工事」「内装工事」などの工程が必要になるため、最短でも1ヶ月以上の工期が必要になります。

 

なお、上記はスムーズに施工ができたケースであり、コンテナハウスを設置する場所や手続き次第では工期が伸びることもありえます。すぐに入居をしたい場合は施工会社と相談したうえで、必要な手続きの準備をあらかじめ進めておくと良いでしょう。

移設が可能である

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスは移設ができるというメリットがあります。コンテナハウスは元々が輸送用のコンテナであるため、クレーンで吊り上げてトラックに積載することで、別の場所に移設することができるのです。

 

これにより、転勤などの要因で住居を移動させたい場合にも、コンテナハウスを手放すことなく引っ越しすることができます。コンテナを増築することで居住スペースを拡大することもできるので、家族構成の変化により引っ越す場合なども対応しやすいというメリットがあります。

 

コンテナハウスを移設する際には「移設先の土地の確保」「輸送費の捻出」「ライフラインの移設手続き」「新たな登記手続き」「搬入経路の確認」などが必要になり、移設の金銭的、時間的なコストは低くない点には留意が必要です。とはいえ、土地に固着していて移動のできない一般住宅と比べると、移設という選択肢も取りうるのはコンテナハウス独自のメリットと言えるでしょう。

デザインの自由度が高い

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスはデザインの自由度が高いというメリットがあります。増改築が可能なほか、内外装を改造しやすいため、コンテナハウスではこだわりを反映させたおしゃれなデザインを実現することが可能です。

 

たとえば、コンテナハウスは横や縦にコンテナを増設するなどのレイアウト変更も柔軟に行えるため、遊び心のある外観を作りやすいです。また、外壁や内装材のカスタマイズも幅広く、木材・金属・ガラス・コンクリート風など、さまざまな素材や仕上げを選択できます。

 

さらに、DIYを楽しみたい方にとってもコンテナハウスは向いています。一般住宅や賃貸物件では、壁に穴を開けるなどの大規模なDIYが難しい場合が多いですが、コンテナハウスの場合は構造がシンプルなうえ、パーツの交換や配管の取り回しなども比較的容易だからです。

 

ただし、あまりに過剰な増改築やDIYをすると、建築基準法違反になったり、コンテナハウスの資産価値を下げたりするリスクを招く危険性もあります。専門家や行政機関へ相談し、必要な手続きや安全面の確認をしたうえでカスタマイズをするように心がけてください。

自然災害に強い

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスは自然災害に強い傾向があるというメリットがあります。とくに日本に多い災害である地震と台風に対しては、コンテナハウス独自の形状により強い耐久性を期待することができるのです。

 

一般住宅は柱や梁、屋根などの個々の部材を接合して作られています。この接合部分が地震の揺れや台風の強風によって破壊されやすいです。対して、コンテナハウスは建築用途で設計・製造された箱型構造であり、接合部分も少ないため、災害に強い傾向にあります。

 

ただし、コンテナハウスも基礎工事が甘いと地震や強風での転倒も考えられます。コンテナハウスの自然災害に対する耐久性を発揮するためには、実績のある施工会社を選定し、基礎工事を適切に行ってもらうようにしましょう。

一般住宅と比較したコンテナハウスのデメリット

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスには次のようなデメリットがあります。

 

【一般住宅と比較したコンテナハウスのデメリット】

  • 外気の影響を受けやすい
  • 床面積の融通が効かない
  • 設置場所の制限がある

 

コンテナハウスは災害に強い一面がある一方で、室内の温度が外気の影響を受けやすいデメリットがあります。また、移設ができるメリットの裏側で、面積や規制の問題で自由に設置ができない可能性がある点も留意が必要です。

 

これらのデメリットから、気温や湿度の変化に敏感な方や、間取りの自由さを求める方にはコンテナハウスは不向きと言えます。また、コンテナハウスの設置予定地の制限に引っかかる場合、そもそもコンテナハウスを設置することができないので注意してください。

外気の影響を受けやすい

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスは外気の影響を受けやすいデメリットがあります。これにより、内部の温度は夏には暑く冬には寒くなりやすく、また室内外の温度差により結露が発生しやすくカビの原因になるので注意が必要です。

 

コンテナハウスが外気の影響を受けやすいのは断熱性が低いからです。

 

断熱性が低い一方で、コンテナハウスは気密性が高いため、冷暖房が効きやすいという特徴があります。ただし、外気の影響が強いと冷暖房効率は下がるため、結果として電気代が高騰するという別のデメリットを招きかねません。

 

【断熱性を高めるための対策】

  • 高性能な断熱材で施工する
  • 窓ガラスを複層にする
  • 屋根や外壁に遮熱塗料を塗る

 

コンテナハウスの断熱性が低いというデメリットを解消するためには、上記のような対策が必要になります。建築費用は増すものの、とくに四季のある日本の気候上、住居の断熱性は入居者の健康と建物の寿命に関わってくるため、初期投資として施工による対策を検討してみてください。

面積の融通が効かない

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスは床面積の融通が効かないというデメリットがあります。ISO海上輸送用コンテナで一般的に流通するのは20FT、40FTですが、コンテナハウスとして利用する場合、標準のISOコンテナを改造するだけでなく、用途に応じた特注サイズのコンテナも作られてはいるものの、間取りの調整はしにくいので注意が必要です。

 

【コンテナハウスの規格と面積】

20フィートコンテナ 40フィートコンテナ
内寸面積 13.31㎡ 27.33㎡
外寸面積 14.79㎡ 29.74㎡

 

20フィートコンテナひとつの内寸は、約8畳に相当します。20フィートコンテナ単品で住宅とする場合、この面積の中にバスやトイレ、キッチンまで取り付ける必要があります。

 

コンテナハウスは連結することで増床は可能ですが、細かい間取りの調整は不可能です。また、コンテナの形状は20フィートコンテナの場合、横2.44メートル、縦は6.06メートル以上の長方形なので、コンテナの入らない土地や区画には設置することができません。

 

床面積の融通が効かないデメリットを解消するには、複数のコンテナをずらして配置したり、縦に増設して2階建てにしたりするなどの工夫が必要です。ずらして空いてしまった土地は中庭にすることで外観のデザイン性を高めることも可能になります。

設置場所の制限がある

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスは設置場所の制限があるというデメリットがあります。予定地にコンテナハウスを設置できないというケースもあるので、事前に調査をしておくことが重要になります。

 

【コンテナハウスの設置場所に制限がある理由】

  • トレーラーやクレーンが通行できない
  • 設置予定地の地盤が軟弱である
  • 都市計画や地域の条例により禁止されている

 

たとえば、入り組んだ住宅地にある家屋を解体してからコンテナハウスを設置しようとしても、トレーラーやクレーンが侵入できないために設置できないというケースが想定されます。

 

また、設置予定地の地盤が軟弱な場合、コンテナハウスをそのまま設置することができません。この場合は地盤改良工事をすれば設置可能になる場合もあるものの、100万円程度の費用が工事費に上乗せされます。

 

予定地に設置の制限があるかどうかを確認するには、施工業者に相談してみるのが良いでしょう。インターネットを活用して簡易な調査もできなくはありませんが、専門家に聞いた方がより確実性が高いので、コンテナハウスを建設するのを決めた段階で相談するのをおすすめします。

住宅用コンテナハウスの費用に関するポイント

通常の注文住宅や建売より、住宅用コンテナハウスの費用は安くあがるというイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、次のようなポイントを押さえておかないと費用が高くつくケースも想定されます。

 

【住宅用コンテナハウスの費用に関するポイント】

  • 建設費用が安いとは限らない
  • メンテナンス費用が必要になる
  • 住宅ローンを組めない場合がある

 

とくにコンテナハウスの費用面にメリットを感じて購入を検討している場合、維持費まで含めて長期的な試算をするのが重要です。また、一般住宅と比較してコンテナハウスの購入に住宅ローンは利用しにくいケースもあるので、事前に建築予定の規格で利用できるのか確認しておくことをおすすめします。

建設費用が安いとは限らない

住宅用にコンテナハウスを設置する場合、多くのケースでは一般住宅よりも安く上がります。しかし、施工の内容次第では必ずしも安くなるわけではない点には注意が必要です。

 

【建材別の坪単価】

建材 2024年坪単価
コンテナハウス ~85万円
木造 ~73万円
鉄骨造 ~102万円
鉄筋コンクリート造 ~122万円

※ コンテナハウスの価格は当社の施工事例を元に算出 。その他建材の価格は国土交通省「24年度版建築着工統計調査報告(e-Stat)」に基づいて計算し作成

 

上記の表を参照すると、コンテナハウスの1坪辺りの建設費は鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも安価であるものの、木造よりは高額であることがわかります。

 

コンテナハウスの方が安く上がるケースが多いのは、コンテナハウスは規格が決まっており、基本的に床面積が注文住宅と比較して狭くなることが多いからです。コンテナを連結させて広めの面積を確保する場合は、同じ広さの木造の方が安くあがるケースもありうるのです。

 

費用面から木造住宅などほかの一般的な住宅とコンテナハウスを比較検討している場合には、それぞれの施工業者に相談に行き、見積もりの概算をもらうと良いでしょう。正式な見積もりは詳細な調査と設計の上で出されるので有料ですが、大まかな建築場所と予定している規模感を伝えれば、おおよそいくら程度になるかはその場で教えてもらえることが多いので、活用してみてください。

メンテナンス費用が必要になる

一般住宅と比較して、住宅用のコンテナハウスは独自のメンテナンスが必要になります。メンテナンスのために住宅のランニングコストが増加することがあるため、思わぬ出費がかさむ可能性がある点に注意が必要です。

 

一般的にコンテナハウスの耐用年数は34年とされていますが、メンテナンスなしでは耐用年数に満たない年数で住めなくなる可能性があります。そのため、コンテナハウスを長く使うには十分な整備が必要になります。

 

【コンテナハウスに必要なメンテナンスと費用】

項目 頻度 費用相場
錆対策 3〜5年ごと 5万円〜20万円
シーリング 3〜5年ごと 3万円〜10万円
屋根 10年ごと〜 10万円〜30万円
外壁 10年ごと〜 10万円〜30万円

 

コンテナハウスの主要な素材は鉄であるため、とくに3年から5年スパンでのサビ対策が必要になります。また、コンテナハウスは防水や気密性を保つために必要なシーリング材の劣化が早い傾向にあり、5年程度でのメンテナンスが必要になります。

 

そのほか、一般住宅でも必要な外壁、屋根といった部分のメンテナンスも上乗せされるので、コンテナハウスの総合的な維持費は高くなりがちです。これらのメンテナンスが必要なことを踏まえて、あらかじめ維持費を積み立てておくなどで対策をするとよいでしょう。

住宅ローンを組めない場合がある

住宅用にコンテナハウスを設置する場合、住宅ローンを組むこと自体は可能です。しかし、特定の状況下においては住宅ローンを使えないケースもあるので注意が必要です。

 

コンテナハウスに限らず、住宅ローンを組むには建築基準法に適合していることが条件になります。また、住宅ローンは住宅の資産価値を担保として融資が為されるため、築年数が古い物件では融資を受けられないケースがありえます。

 

そのため、次のようなコンテナハウスを購入する場合には住宅ローンを組めないケースが想定されます。

 

【コンテナハウスで住宅ローンが組めないケース例】

  • 建築基準法に適さないISO規格のコンテナを家にしようとしている場合
  • 資産価値の低い中古コンテナを購入しようとしている場合
  • 過剰な増改築をして違法建築とみなされてしまう場合

 

上記の例のほかにも、単純に住宅ローンの審査に通らないケースや、申請しようとしていた銀行がコンテナハウスの住宅ローンに積極的でないケースも想定されます。そのため、住宅ローンを申請する銀行選びも重要になってきます。

 

コンテナハウス購入に住宅ローンを利用したい場合は、やはり施工業者に住宅ローンを利用したいことを相談するのをおすすめします。専門家の見地からローンの組める施工を提案してくれるほか、地域の中で融資実績のある銀行を紹介してもらえる可能性が高いからです。

 

コンテナハウスは安い買い物ではないので、住宅ローンを組みたいケースも多いと思われます。購入に関しては一人で悩まず、信頼できる専門家や施工業者に相談して、納得のいく家づくりを目指しましょう。

まとめ

コンテナハウスには工期が短くデザイン性や移設可能など自由度が高いというメリットがあります。その一方で、外気の影響を受けやすく、間取りや設置場所に融通が効かないというデメリットも存在します。

 

費用に関して、コンテナハウスは安いと思われがちですが、坪単価あたりの建設費は安くありません。また、独自のメンテナンスが必要になるほか、住宅ローンを借りるのに特殊な条件もあるため、あらかじめ長期的なランニングコストを試算しておいた方が良いでしょう。

 

なお、当サイトを運営するコンテナバンクは、コンテナを多数活用した建築に特化した施工業者です。コンテナバンクの住宅用コンテナハウスの施工例を確認したい場合には、「住宅・アパート」のページを参考にしてみてください。