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コンテナハウスに屋上を設けるための要件や注意点を解説

開放的でプライベートな空間として、コンテナハウスに屋上を設置したいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

コンテナハウスに屋上を設けることは可能であり、設置方法は木造建築と大差ありません。ただし、建築基準法と各自治体の条例で定められた条件を満たす必要があります。

当記事では、コンテナハウスに屋上を設けるための要件や注意点を解説します。コンテナハウスコンテナハウスに設けた屋上の活用例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

コンテナハウスに屋上を設置するための要件

他の建築物と同様に、コンテナハウスに屋上を設けるためには、建築基準法と各自治体の条例で定められた条件を満たす必要があります。

 

【建築基準法上の条件】

・建築物の構造計算を行い、屋上の荷重に耐えられる構造であること

・屋上への避難経路の確保や、防火上の措置を講じること

 

【その他の条件】

・屋上を庭園やテラスとして利用する場合は、防水対策や排水計画を行う

 

他にも、各自治体の条例で、屋上の利用に関する規制が定められている場合があります。

 

たとえば、東京都では一定規模以上の建築物に「屋上緑化」が義務付けられています。

また、屋上を設置する地域によっては、町並みや良好な都市景観を形成することを目的とした「景観条例」などの規制があります。

 

なお、これらの条件は、建築物の用途や規模、地域の状況によって異なります。コンテナハウスに屋上を設けるための詳細については、専門業者や設置予定の自治体の担当窓口に相談しましょう。

建物の屋上にコンテナハウスを設置するのは難しい

既存の建築物の屋上にコンテナハウスを設置することは、複数の条件を満たす必要があるため、難しいでしょう。前項の条件に加え、屋上がコンテナハウスの荷重に耐えられる構造であることの確認と、構造計算が必要になるからです。

 

さらに、防火地域や準防火地域では、屋上にコンテナハウスを設置するのに以下の防火基準を満たす必要があります。

 

【建物の屋上にコンテナハウスを設置する場合の防火基準】

防火基準 詳細
耐火性能 コンテナハウスの外壁・屋根は、防火地域では耐火建築物、準防火地域では準耐火建築物の基準を満たす必要がある
延焼防止 開口部(窓やドア)には、防火設備を設置し、延焼を防ぐ必要がある
避難経路 火災時の避難経路を確保し、避難に必要な防火上の措置を講じる必要がある

 

なお、これらの基準は地域や建物の規模によって異なります。詳細は、コンテナハウスの建設実績が豊富な専門業者や自治体に確認してください。

コンテナハウスに屋上を設ける際の注意点

コンテナハウスに屋上を設ける際に注意すべき点は以下の通りです。

 

【コンテナハウスに屋上を設ける際の注意点】

  • コンテナハウスの設計段階で早めに伝える
  • 屋根の勾配や排水状況を確認する
  • 安全要素を確認する
  • 落下防止対策を行う
  • 定期的に点検やメンテナンスを行う

 

これらは、コンテナハウスの建築を検討している段階で把握しておくべき注意点です。コンテナハウスの屋上を安全で長く使えるものにするためにも、設計を依頼する前に確認しておくようにしてください。

コンテナハウスの設計段階で早めに伝える

屋上の設置を希望する場合は、コンテナハウスの設計段階で早めに業者に伝えておくようにしましょう。

 

コンテナハウスに屋上を設ける場合、活用方法を考慮した設計にする必要があります。コンテナハウスの屋上の活用方法によって「重量への耐久」「安全性の考慮」「近隣への影響」などが異なり、それにより設計も変わるからです。

 

屋上を飲食店のテラス席として活用することを想定している場合は、相応の人数や設備の設置できる耐久性や、落下防止の手すりの設置など安全性への考慮が必要になります。 

 

また、設計が完了してから屋上を希望しても、費用が変わってくるため、断られてしまう可能性があります。建設途中での変更は難しいので、屋上の活用は業者に相談する前に決めておき、早めに伝えるようにしましょう。

屋根の勾配や排水状況を確認する

事前にコンテナハウスの屋根の勾配や排水状況を確認し、把握しておくようにしましょう。コンテナハウスに屋上を設けると屋根への日照と通気が悪化し、雨水が乾きにくくなり、コンテナの屋根が腐食しやすくなるためです。

 

コンテナハウスの屋根を腐食させないようにするため、屋上デッキを支える下地材は、コンテナ屋根に直接置かず架空構造にしてもらうよう施工業者に依頼しましょう。

 

また、屋上デッキの下地材を支える「大引き」も、コンテナ屋根に直置きせず、数点の支持点を通してコンテナと連結すると腐食の進行を防げます。

 

コンテナハウスの屋上は、長期間にわたって維持できる方法で設置するようにしてください。

安全要素を確認する

コンテナハウスに屋上を設ける際には、安全要素を確認しましょう。

 

まずは、コンテナハウスの構造強度を確認するようにします。屋上を設けることで、屋根が陥没したり、梁が折れたりするリスクを避けるためです。

 

コンテナに屋上デッキを設ける場合は、地震や台風など自然災害がもたらす水平力に備える必要があります。水平力とは、建物に対して水平にかかる力であり、建物の倒壊の一因となるものです。コンテナハウスと屋上部分の連結や固定が強固になるように、施工業者に依頼して設置してもらいましょう。

 

さらに、コンテナハウスと部品が固定されているかだけでなく、屋上に上がるための階段など、部品自体の強度も確認するようにしてください。

落下防止対策を行う

コンテナハウスに屋上を設ける場合は、居住者や訪問者の安全を確保するために落下防止対策は必ず行うようにしましょう。コンテナハウスの屋上は高所であるため、落下事故のリスクが伴うためです。

 

建築基準法において、屋上広場や2階以上のバルコニーには、原則1.1m以上の高さの手すり壁、柵、または金網を設けなければならない決まりがあります。コンテナハウスも例外ではなく、同様の基準で屋上に金綱を設置しなければなりません。

 

さらに、コンテナハウスの屋上周辺には、十分な高さと強度の手すりや柵を設置しましょう。子どもやペットがいる場合は、屋上の柵からすり抜ける危険性があるため、隙間が少ない柵を選ぶようにしてください。転落防止ネットなどを併用するのも有効でしょう。

 

また、屋上への階段には、手すりを設置して滑り止め対策を行いましょう。夜間でも安全に昇降するためには、階段の照明を確保します。

 

なお、手すりや柵を設置する場合は、強度を十分に検証し、安全性を確保しましょう。建築士や施工業者に依頼して、適切な設計と施工を行うことを検討してください。

定期的に点検やメンテナンスを行う

コンテナハウスの屋上は定期的に点検やメンテナンスを行うようにしましょう。屋上に限りませんが、点検や適切なメンテナンスによって雨漏りを防ぎ、建物の寿命を延ばすことが可能になるからです。

 

コンテナハウスは、鋼鉄製であるため、錆びやすいという特徴があります。錆や塗膜の剥がれがないか確認し、必要に応じて補修や再塗装を行いましょう。また、雨水が溜まらないように、屋根の勾配や排水溝の状態も確認が必要です。

 

コンテナハウスの設置場所にもよりますが、一般的には、年に1回程度の定期点検が推奨されます。とくに、コンテナハウス屋上は、直射日光や雨に直接さらされることを免れません。ダメージを受けやすいため、割れやヒビなどの経年劣化が現れていないか、定期的に確認し、必要に応じてメンテナンスを行うようにしましょう。

コンテナハウスに設けた屋上の活用例

コンテナハウスの屋上は、飲食店や住居のルーフトップテラスとして活用できます。ルーフトップテラスとは、建物の屋上に設置されたテラスのことです。

 

コンテナハウスに屋上を設けることで、十分な敷地やサイズのコンテナハウスを用意できなかった場合にも、建築面積と同等のスペースを確保できます。

 

【用途例】

  • BBQ
  • 物干しスペース
  • ガーデニング・家庭菜園
  • 子供の遊び場
  • ドッグラン
  • 飲食店のテラス席

コンテナハウスの屋上に設けた庭は、近隣の視線が気にならないプライベートな空間としてさまざまな用途に活用できます。さらに、コンテナハウスの屋上は、屋上に植物を植えて緑化することで建物の断熱性や景観の向上などを図る「屋上緑化」としても活用可能です。

 

コンテナハウスの屋上を目的に合った設計にするためにも、事前に用途を明確にしておくようにしましょう。

まとめ

コンテナハウスに屋上を設けるには、構造計算や避難経路の確保、防水対策や排水計画など、建築基準法や各自治体の条例で定められた条件を満たす必要があります。既存の建築物の屋上にコンテナハウスを設置するには、コンテナハウスの荷重に耐えられる構造であることに加え、防火基準を満たす必要があるため、難しいでしょう。

 

コンテナハウスに屋上を設ける際の注意点は、以下の通りです。

  • コンテナハウスの設計段階で早めに伝える
  • 事前にコンテナハウスの屋根を確認する
  • 安全要素を確認する
  • 落下防止対策を行う
  • 定期的に点検やメンテナンスを行う

 

コンテナハウスに設置した屋上は、飲食店や住居のルーフトップテラスとして活用できます。コンテナハウスの屋根を設置する場合は、事前に用途を明確にして、施工実績が豊富な業者に依頼して設計することを検討しましょう。